2018 年 56 巻 3 号 p. 174-185
本研究の目的は,文化間移動する幼児が母語以外の言語を獲得していく過程における,言語使用の実態を明らかにすることである。特に,多文化状況の保育における,幼児同士また幼児と周りの人々の言語コードスイッチング(言語切替)が,どのような場面や状況で生じるのかということを検討した。中華系外国人学校附属における幼稚部の幼児8名の自然会話場面を観察した結果,わからない単語があれば,現在使っている言語から,自分の優勢な言語に切り替えを自発的に行っていた。大人を対象とした研究において指摘されていることであるが,幼稚園においても複数の幼児とのやりとりの中で用いられることについても同様の現象が明らかになった。