2018 年 56 巻 3 号 p. 58-69
本研究は,学校教育法制定後の千葉師範学校附属幼稚園において構想・実践化されるに至った「新保育」(1947)の特質を,その当時の実践資料に基づいて明らかにすることを目的とした。研究の結果,「新保育」の特質として明らかにされたのは,次の3点である。第1に,学校教育法における幼稚園の目的規定に示された「適当な環境」への着眼とその具現化,第2に,その環境との関わりにおいて誘われる幼児の自発的な遊びを基盤とした生活の組織,第3に,幼児の自己活動が十分に展開される生活形態に工夫を生み出して,戦前より同園において試みてきた「誘導保育」を再構築したものであった。