本研究では,現在の育児雑誌に紹介されている専門家の助言の内容分析を行い,食事や授乳に関する助言について明らかにすることを目的とした。分析には,2015-2019に出版された2種類の育児雑誌の中から,0-2歳児の親を対象に書かれた食事や授乳に関する43記事を使用した。その結果,全体の9割の記事に,食に対する子どもの個性や主体性を尊重し,育成するため助言【子ども中心】が出現した。また子どもの食事や授乳に関する悩みや不安を緩和するための【母親への配慮】が7割の記事に出現し,さらに半数以上の記事に子どもの思いや行動への【応答性】や【統制】を重視する助言がみられた。全体を通し,性善説的な子ども観や母子の緊密な関係性の重視等,日本的な育児の特徴が反映されていることが認められた。