抄録
本研究では,保育士が捉えた「対応に苦慮する保護者」および「その子ども」の特徴に着目し,これらの特徴の関係を分析した。調査協力者は,5年以上の保育経験をもち,対応に苦慮する保護者への対応の経験がある414名であった。解析の結果,「対応に苦慮する保護者の特徴」では「拒絶的養育態度」「園への過剰な要求」「怒りのまき散らし」の3因子が抽出され,「対応に苦慮する保護者の子どもの特徴」では「攻撃的態度」「低意欲・他者回避的態度」「不潔・食欲異常」の3因子が抽出された。親の拒絶的な養育態度は我が子にも伝達され,子の攻撃的態度や意欲の低下や他者回避的態度に関連していることが示唆された。