抄録
本研究では,保育所実習の質向上の手立てとして,保育所実習を指導する保育者のための自己評価尺度を開発した。研究Ⅰでは,保育者298名を対象に保育所実習指導における困難感等に関する質問紙調査をもとに,60の尺度候補項目を選出した。研究Ⅱでは,因子分析によって,「実習生を尊重した関わり」「保育所実習の原則や理念の理解」「保育実践力を生かした指導」「指導案,実習記録にかかる指導時間の確保」「指導者自身の保育への姿勢」の5因子34項目の尺度が作成され,信頼性と妥当性が検証された。研究Ⅲでは,保育所実習指導者の熟達度群と5因子との関連を検討した。本尺度作成の過程から保育所実習指導の課題と解決のための示唆が得られた。