本論では,前期ミドルリーダーに視点を当て,後輩との関わりが,前期ミドルリーダーの中でどのような保育観の変容をもたらしていくのか,その変容のプロセスを明らかにすることを目的とする。個人の生の歴史をより詳細に描き出すことに視点を当てて,TEMにより時間軸上の変容や安定を描き,またTLMGにより内的変容過程の分析を通じて対象理解を深めることを目指した。分析をとおして,「子どもと向き合う保育観」において,「私の経験に裏付けされた子どもと向き合う保育観」から,「私と後輩のかかわりに裏付けされた子どもと向き合う保育観」へと,ミドルリーダーの中で保育観の質が変容しているという事が明らかになった。