抄録
本研究では,2〜3歳児の遊び場面を半年間,保育園で縦断的に観察し,仲間同士で「一緒に」を求める目標共有の仕方に着目して事例を考察した。その結果,前後期共に観察された「相互模倣」では,目標共有という点では明示的な自覚はないが,同じ動きを介してコンタクトの成立を確認し,「一緒であること」を共有する姿が観察された。後半期には,「ごっこ遊び」や「共同構成」の中で,言葉を使って他児と目標を共有する姿が観察された。具体的には,同じ行動を行っていることをアピールしたり,目標を共有していることを確認する姿が観察された。以上の結果は,2歳児クラスの子ども同士の仲間関係や合意形成,自我発達との関連で考察された。