本研究では,保育現場における保育者の援助要請行動に及ぼす要因として,協働的風土,被援助志向性,保育者個人の認知及び態度に焦点を当て検討した。調査の結果,保育者の問題に対する内的帰属が低-中程度の事例場面において,協働的風土が個人の内的帰属及び上司や同僚への相談行動に対する懸念や抵抗感を抑制する効果を持つことが示された。また,協働的風土は同僚への援助要請を直接的に高めていた。上司に対しては,協働的風土が個人の内的帰属や上司からの評価懸念を抑制し,その結果,上司への援助要請を促進するという,同僚とは異なるパスが存在した。職場の協働的風土が保育者の援助要請行動に促進的な影響を及ぼすことが示唆された。