抄録
本稿では,SDGs達成に向けた質を追求する欧州の保育事情からフィンランドに着目し,保育制度が確立された1970年代から30年間にわたる制度改革について論じた。主にフィンランド語による文献を資料とした。本稿で明らかになったのは以下である。1980年代,こども保育法の施行から国家主導型による急進的な改革が,現場に混乱を引き起こす事態を作り出したが,その反省から,1990年代にはこども主体の教育の在り方へ回帰した。ECECは1986年に始まった就学前教育と連携し,情報指導型政策によるカリキュラム開発の結果,2000年代に入りECECと就学前教育の二種のナショナル・コアカリキュラムが施行された。これは,幼保小の連結による教育継続の整備にもつながった。