保育学研究
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原著<論文>
幼児期の実行機能が児童期の学業達成に及ぼす影響
―7年間の縦断研究―
中道 直子中道 圭人中澤 潤
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2023 年 61 巻 2 号 p. 7-17

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抄録

本研究は,幼児期の実行機能が小学校6年時までの学業達成をいかに予測するのかを検討した7年間にわたる縦断研究である。本研究では,46名の幼児(M=77.88か月)を対象に2種類の実行機能(Cool-EF,Hot-EF)を測定し,さらに同じ子どもの小学校1・3・6年生時の学業達成(国語,算数)を測定した。その結果,幼児期のCool-EFとHot-EFの両方が小学校1年時の学業達成を直接予測し,特にCool-EFがHot-EFより大きな予測力を持っていた。また,幼稚園時点のCool-EFとHot-EFは,小学校1年時の学業達成を媒介して,3・6年時の学業達成を予測した。本研究の結果は,幼児期の2種類の実行機能が,小学校1年時の学業達成を支え,そこで育まれた学力が小学校6年までの学業達成に影響することを示した。

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© 2023 一般社団法人 日本保育学会
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