抄録
本研究の目的は,保育者であった〈わたし〉が「聴」いたことをもとに,乳児保育においてわらべうたによって築かれる子どもと保育者との関係を示すことである。「聴く」とは,実践の只中で,子どもの心情を我が事のように感じ取ろうとすることである。観察当初の〈わたし〉が関係構築の難しさを感じていたあすかとのエピソード記述(13例)を,経験的現象学に基づくTAE(Gendlin, 2004)によって分析し,その時々の関係を言語化した。その結果,乳児保育において築かれる子どもと保育者との関係は,互いの気持ちが揃い,互いを迎え入れ応え合う「聴き合う関係」であった。「聴き合う関係」においては,不快情動をポジティブに調整することが可能となることが示唆された。