運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
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認知機能,脳活動効率改善効果を示す複合型運動プログラム:日本運動疫学会プロジェクト研究“介入研究によるエビデンス提供”
西口 周 山田 実
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キーワード: 高齢者, 運動, 認知機能, fMRI
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2016 年 18 巻 2 号 p. 99-104

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抄録

我々は,地域在住高齢者を対象に認知機能,脳活動効率改善を目的とした複合型運動プログラムを開発し,その有効性をランダム化比較試験によって明らかにした。本資料論文では,日本運動疫学会プロジェクト研究「介入研究によるエビデンスの『つくる・伝える・使う』の促進に向けた基盤整備」の呼びかけに対し,認知機能,脳活動効率改善を目的とした複合型運動プログラムのエビデンスを提供し,介入プログラムの一般化可能性を評価する枠組みであるRE-AIMの観点から検討した。本プログラムに参加した高齢者は母集団のごく一部であり,到達度は低い。しかし,対象者の運動・認知機能レベルは一般化が可能なレベルである(reach)。有効性(effectiveness)に関しては,記憶機能,遂行機能の改善を認めており,その背景として脳活動効率の増加, 身体活動量の増加について有効性が認められている。採用度(adoption)に関しては,実施環境・設備等は比較的一般化可能である規模であるが,科学的な枠組みでの評価が必要である。本プログラムの実施精度(implementation)や維持度(maintenance)については今後の検証が必要である。以上のように,課題は残されているが,比較的簡易に実施可能で短期間で認知機能改善をもたらす介入手法として,介護予防現場での積極的な活用が期待される。

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© 2016 日本運動疫学会
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