2017 年 19 巻 1 号 p. 1-11
目的:本研究は,幼児自身の運動に対する認知的評価と幼児自身の友人の数に対する認知的評価,加速度計による日常の身体活動量,および保育者や保護者による幼児に対する認知的評価との関係を検討することを目的とした。
方法:195名(男児106名,女児89名)の年中および年長の幼児を対象に,口頭で,運動が好きかどうか,運動が上手であると思うかどうか,および保育所や幼稚園内外それぞれの友人の数に対する認知的評価を尋ねた。加えて,各幼児の保育者と保護者に,各認知的評価に関して質問紙で尋ねた。更に,平日と週末を含む6日間にわたり,三軸加速度計を使って日常生活全般の中高強度活動(moderate-to-vigorous physical activity; MVPA)を測定した。
結果:ロジスティック回帰分析の結果,保育者の認知的評価の「友人の数」,および保護者の認知的評価の「運動が上手である」は,幼児自身の認知的評価の「運動が上手である」と正の関連性があった。 また,保育者の認知的評価の「活発である」,および保護者の認知的評価の「活発である」,「運動が好きである」は,幼児自身の認知的評価の「運動が好きである」および「運動が上手である」と負の関連性があった。
結論:本研究の結果から,保育者および保護者の認知的評価が,幼児自身の運動に対する認知的評価に対して正負の両方向で関連することが明らかとなった。そのため,幼児自身の運動に対する認知的評価を高めるために,保育者や保護者のかかわり方の工夫が必要になると考えられる。