目的:本研究の目的は,スマートフォンアプリを用いて歩数を評価し,新型コロナウイルス(COVID-19)感染症流行下における大学生の歩数の変化を性および生活スタイル別に明らかにすることとした。
方法:対象者は,大学3,4年次の男女194名(男性85名,女性109名)とした。歩数は,COVID-19発生前である2019年12月から,ハイブリッド型講義期間である2020年10月までの期間内に,スマートフォンに記録されている連続した1週間を計10期抽出した。歩数の変化を性および生活スタイル(運動習慣およびアルバイトの有無,ハイブリッド講義期間での主な受講形態)別に検討するために,スマートフォンの携帯方法と携帯頻度を調整変数とした二元配置分散分析を行った。
結果:本研究において,COVID-19の感染症流行下における歩数の変化のパターンは,性や生活スタイルにより差は認められなかったが,性および運動習慣の有無による歩数の差が認められた。歩数はCOVID-19発生前と比較して緊急事態宣言時が最も少なく,男性で48.3%,女性で54.9%減少していた。本研究の対象者において,完全遠隔講義期間から歩数は増加する傾向にあったが,ハイブリッド型講義期間においてもCOVID-19発生前の歩数に回復していなかった。
結論:新型感染症流行下では,性や生活スタイルに関わらず減少した身体活動量の回復を促進する対策が必要であると考えられた。