運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
二次出版
筋力向上活動は主要な非感染性疾患の低いリスクおよび死亡率と関連する:コホート研究のシステマティックレビューとメタ解析
British Journal of Sports Medicine に掲載された英語論文の日本語による二次出版
門間 陽樹 川上 諒子本田 貴紀澤田 亨
著者情報
ジャーナル フリー
電子付録

2022 年 24 巻 2 号 p. 142-157

詳細
抄録

目的:成人において,有酸素性の身体活動の影響を考慮して,筋力向上活動と非感染性疾患および死亡リスクの関連を定量化すること。

デザイン:コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析

データソース:2021年6月までの文献をMEDLINEおよびEmbaseで検索し,さらに文献のハンドサーチを行った。

研究の適格基準:深刻な健康問題がない18歳以上の成人を対象に,筋力向上活動と健康アウトカムの関連を検討したコホート研究

結果:16件の研究が適格基準を満たした。筋力向上活動の実施により,総死亡,心血管疾患(cardiovascular diseases: CVD),全がん,糖尿病,肺がんのリスクは10~17%低い値を示した。筋力向上活動とほかの部位別がん(結腸がん,腎臓がん,膀胱がん,膵臓がん)に関連はなかった。総死亡,CVD,全がんに関してはJ字の関連が認められ,約週30~60分の時点で最も大きいリスクの減少(約10~20%)が得られた。一方,糖尿病についてはL字の関連が認められ,週60分まで大きなリスク減少が得られた。筋力向上活動と有酸素性の身体活動を組み合わせて実施すると,どちらも実施なしと比較して,総死亡,CVD,全がんのリスクは低い値を示した。

結論:筋力向上活動は総死亡および主要な非感染性疾患(CVD,全がん,糖尿病,肺がん)のリスクと負の関連を示した。しかしながら,総死亡,CVD,全がんにおいてJ字の関連が認められたことを考慮すると,筋力向上活動をより多く実施することの影響については明確ではない。

登録番号: PROSPERO CRD42020219808

著者関連情報
© 2022 日本運動疫学会
前の記事
feedback
Top