2023 年 25 巻 2 号 p. 152-162
【目的】本研究の目的は,行政による幼児期運動プログラム(運動プログラム)普及施策の実装プロセスを明らかにすることである。
【方法】保育者向け運動プログラムの実装状況をPAIREMに基づき評価した。2016年から2021年の雲南市の幼保行政,保育施設,幼稚園教諭・保育士(保育者)のデータを評価に用いた。幼児の体力は,新型コロナウイルス蔓延の影響を考慮し2019年まで分析した。
【結果】計画:「自分の子どもが心身ともに健全だと感じる保護者の割合95.0%」を目標としていた。「研修会の開催数」と「体力測定の参加園・幼児数」を各年度の目標に掲げていた。幼児の体力向上に関する目標値は設定していなかった。採用:運動プログラムは17施設で活用された。実施:保育者向け研修会が14回開催された。到達:学習教材は全保育者に配布された。研修会の実参加施設数は21施設であった。疑似保育者カバー率(延べ研修会参加者数/保育者数)は18.5%(342/1,849人)であった。効果:「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具等を操作する動き」の各観点から幼児への援助を75.5%から90.4%の保育者が行った。幼児の体力は,2016年と比べて,2019年の年中・年長児のソフトボール投げと25m走が高かったが,年長児の立ち幅跳びが低かった。継続:今後評価予定である。
【結論】本研究の結果,行政による研修会等を通じた運動プログラム普及施策の実装プロセスが明らかになった。今後さらなる事業の改善と推進が求められる。