運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
幼児期の身体活動量と運動能力に関する横断的・縦断的研究
山形 菜々子上地 勝青栁 直子引原 有輝渡邊 將司
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論文ID: 2301

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抄録

目的:幼児期における身体活動量と運動能力が横断的,縦断的にどの程度,またどのように関わっているのかを分析した。
方法:対象は2018年度から2020年度までに入園した66名の幼稚園児で3年間の追跡調査に参加した。身体活動量は加速度計を用いて評価し,中高強度身体活動(MVPA)を算出した。運動能力は,25m走,立幅跳,ボール投,捕球であった。因果関係の分析には,構造方程式モデリングを用いてパス解析をおこなった。
結果:横断的にみると,年中のMVPAと各運動能力はそれぞれ弱~中程度の相関が認められた(r=-.637~.450)。年長はボール投と捕球に相関が認められた(r=.294)が,それ以外では認められなかった。縦断的にみると,年少のMVPAは年中のMVPAに対して中程度の影響(β=.405)を与え,年長のMVPAに対しては弱い影響(β=.352)を与えた。また,年中の立幅跳は年長のMVPAに対して弱い影響を与えた(β=.317)。年中の各運動能力は,年長の各運動能力に対して弱~中程度の影響を与えた(β=-.280~.527)。
結論:年中の身体活動量と各運動能力は関連があった。年長はボール投と捕球以外で関連がなかった。年少の身体活動量は年中・年長の身体活動量に影響を与えた。遊びの内容や質が変化することで,運動能力は身体活動量に間接的な影響を与えていたと推察される。このような特徴を踏まえ,段階的なアプローチをおこなうことが求められるだろう。

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