抄録
目的:国民健康・栄養調査の運動習慣, 歩数の結果は, 本邦の健康政策の目標値の設定やモニタリングとして活用されている。このため, 調査方法の変更点や内容および変遷を把握することが重要である。本研究は, これまで国民健康・栄養調査で実施されてきた運動習慣, 歩数, 体格・体力に関連する項目を系統的に整理することを目的とした。
方法:1946年から2019年までの74年間の調査を対象とし, 各年の調査の概要, 報告書から,運動習慣, 歩数, 体格・体力に関連する項目の調査項目の情報を収集し, 調査方法の変更内容と変遷などを整理した。
結果:運動習慣は調査員による対面での聞き取り調査で把握されていた。運動習慣有とは, 「1回30分以上の運動を週2回以上実施し, 1年以上継続していること」と定義され, 1986年から2019年まで一貫していた。歩数は, 1989年から歩数計(山佐時計計器株式会社製)を用いて計測され, 装着部位は腰部, 11月中の日曜日および祝日を除く1日と調査方法が一貫していた。運動習慣, 歩数以外には, 身体活動, 運動, スポーツの実施有無, 頻度や実施時間, 意欲, 握力や形態計測などのその時代背景に合わせて調査が行われていた。
結論:運動習慣有の定義, ならびに歩数調査用の歩数計は, 調査が開始された年から一貫して用いられていた。よって国民健康・栄養調査は経時的に比較可能な調査が可能であると考えられる。