2008 年 1 巻 2 号 p. 64-75
本研究の目的は,顕示選好法の回避支出法と表明選好法の選択実験を適用することにより,飲料水水質向上政策の限界支払意志額を推定するとともに,両手法の特徴とパフォーマンスについて比較分析を行うことである.調査対象地は茨城県つくば市であり,直接配布・郵送回収により220件の標本を得た.回避支出法については,残留塩素のパラメータにASCを使用したモデルでは係数の符号が不安定となり,選択実験については,排水設備の整備拡充に関するパラメータに統計的に有意な係数が得られなかった.表明選好法と顕示選好法の結合データを入れ子型ロジットモデルにより分析した場合に,良好な推定結果が得られた.