環境政策統合(EPI)は,環境目的を全ての政策分野に反映させることを確保する戦略・プロセスを指す.本稿では,EPIの意義を認識し,日本の気候変動分野におけるEPIについて,先行研究を踏まえ制度的・政治的・認識的な観点から事例分析を行った.その結果,日本にも原則や組織体制,計画にEPIの概念が見出せ,課題の重点化が一部で図られていたが,調整・調和や政策効果の担保を図るような制度・組織上のEPIの実践は限られ,省庁が強い独自性を維持していることが明らかとなった.また,分析の結果,政治的関与やアクターの認識向上等の政治的・認識的観点からのEPIが,制度的観点からのEPIを促進する上で重要な役割を果たしうることが明らかとなった.