2018 年 11 巻 2 号 p. 15-28
本論文では環境保全型農業に関する情報提供により,消費者の選好がどのように変化するのかを明らかにするため,滋賀県の琵琶湖を対象地域として,滋賀県,京都府,大阪府の消費者を対象に選択実験を行い,WTP spaceによるランダムパラメータロジットモデルを用いた分析を行った.分析からは情報提供が消費者の選好に影響を及ぼしたが,情報の種類により,その効果は均等に現れるのではなく,影響が及ぶ消費者層が異なることが明らかとなった.環境保全型農産物を普及させるためには,どのような選好を持つ消費者に影響を及ぼしたいかを明確にした上で,その消費者に応じた情報を提供することが適切であると考えられた.