環境経済・政策研究
Online ISSN : 2188-2495
Print ISSN : 1882-3742
ISSN-L : 1882-3742
学術研究論文
ドイツにおける原子力政策転換と重層的ガバナンス
-シュターデ原子力発電所を事例として-
渡邉 理絵
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 12 巻 1 号 p. 17-32

詳細
抄録

本稿は,シュターデ市を事例として,ドイツ連邦政府が原子力発電所の段階的廃止を決定・実施する過程を,市,州,電力会社の関与に焦点をあてて分析した.その結果,1)電力会社は連邦政府と直接交渉する機会を得て,早期に廃炉にする原子力発電所の稼働容量を他の発電所に移転するなどの条件を盛り込むことに成功した,2)シュターデ市は決定に関与する機会はなかったが,連邦の決定後,経済再建,雇用確保において連邦,州,電力会社の支援を確保した,3)ニーダーザクセン州は社会民主党政権時に連邦に先駆けて脱原発を決定したが,連邦の決定後は,シュターデ市の意向を受けて,原発維持を求める議員も出現した,ことが明らかになった.

著者関連情報
© 2019 環境経済・政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top