2020 年 13 巻 2 号 p. 1-17
本稿では,欧州環境エネルギー政策決定プロセスにおける産業界のロビー活動について論じる.既存研究で産業界は,EU政策決定に大きな影響力を及ぼしうるアクターとして認識されてきたが,本稿では,エコデザイン規制における2重規制を事例研究対象に,産業界のロビー活動に関するこの既存見解を再考した.2重規制が大きく取り上げられたファン実施措置改訂プロセスを中心に唱道連携フレームワーク及び新制度論を相互補完的に活用し分析した結果,精力的なロビー活動にも関わらず最終製品メーカーが求める政策変更がなされなかったこと及びその要因を明らかにした.