レギュラトリーサイエンス学会誌
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総説
少子高齢化社会を見据えた社会保障のエコシステムにおける病院・薬局薬剤師の役割に関する考察
高村 建人鈴木 伸敏橘 敬祐近藤 昌夫
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2020 年 10 巻 3 号 p. 123-130

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抄録

現在の日本では人口減少や少子高齢化が急速に進展しており, 社会保障の充実と財政健全化は喫緊の課題である. 団塊の世代が75歳以上となる2025年, さらには高齢者数がピークを迎える2040年に向けて総人口は減少の一途をたどり, 2040年には総人口が11,092万人にまで減少し, 1.4人の現役世代が1人の高齢者を支えることになると予測されている. また, 社会保障給付費のうち国民医療費も, 2018年度の39.2兆円から2040年度の66.7~68.5兆円まで約1.7倍に上昇すると考えられている. 近年, 革新的な医薬品が開発・承認されて医療に貢献している一方で, その高額な薬価が問題視されている. それら薬剤料に大きな影響を及ぼす薬価の算定において, 類似薬がない新薬では原料費や製造経費のほかに, 販売費および一般管理費なども加算される. そこで本総説では, 現役世代が減少し高齢者数がピークを迎える2040年を見据え, 社会保障の持続可能性を確保するための医療費の削減に向けて, 薬価制度における製薬企業の費用構造をふまえた上で, 医療費の削減に寄与し得る薬剤師の役割について考察する.

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© 2020 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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