2012 年 5 巻 1 号 p. 1-9
東日本大震災は日常生活や経済活動のみならず,社会制度のあり方にまで急激な変化を迫っている.(1)特異な非定常(災害という非日常)の状態で人々の生活の安定を確保し安全を担保すること,(2)特異な非定常(災害という非日常)の状態から定常状態(日常の状態),望むらくは持続可能な発展の状態に経済社会を誘導すること,(3)特異な非定常の状態(災害という非日常の状態)から見て,従来あった定常状態(日常の状態)のシステム上の問題点を明らかにし,問題点を克服すること,の3つの点で環境経済学は貢献しなければならない.そのためには,研究者が立場,視点,手法の相違を超えて連携し,研究を融合させる必要がある.そうしてこそ環境経済学は復興・復旧のための現実的施策に役立つことができるのである.