抄録
本稿では「持続可能な発展」が経済活動において主流化されない背景として「無限の経済成長が可能であり,経済成長がすべての問題を解決する」との言説が根強いことを指摘し,閉鎖性経済への再認識が必要であることを提起した.また,「持続可能な発展」が本来不断の社会変革プロセスを意味すること,持続可能な発展の実践思想としてのエコロジー的近代化論が北欧・ドイツなどで一定の成果を上げてきたこと,その手法として環境政策統合が展開されたことを論述し,その上で日本の環境政策展開の特異性と持続可能性の主流化への示唆を論じた.