抄録
トイレに行く時にナースコールを押さない認知機能面が低下している方に対して,ナースコールを押すように指導を行い,指導方法が有効であるか検討した.最初に口頭指示のみで指導を行いナースコール回数と失禁回数を計測した.次に,口頭指示と文字教示を使用し指導を行いナースコール回数と失禁回数を計測した.さらに口頭指示回数と文字教示の文字数を減らしていき,最終的には口頭指示と文字教示がなくした状態でのナースコール回数と失禁回数も計測した.その結果,ベースラインはナースコール回数0回,失禁回数6回だったのに対して,介入期は口頭指示による促しがあった場合のナースコール回数3回,自発的にナースコールを押した回数は6回,失禁回数0回となった.以上のことより,認知機能が低下している対象者であっても,口頭指示だけではなく文字教示もすることにより標的とした行動は定着できると考えられた.