リハビリテーション連携科学
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事例報告
先天盲生徒への空間参照枠の活用を促す室内の歩行指導 : 心的回転に困難性を示した事例への効果検討
丹所 忍
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2020 年 21 巻 1 号 p. 53-63

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抄録

【目的】心的回転に困難を示す先天盲生徒1名への室内の歩行指導において, 外部参照枠の活用を促す指導の効果を検討した. 【方法】室内の各壁に基準点を設けて外部参照枠とし (基準点0・180・90・270度), 各基準点での触地図構成により配置理解を促し, 基準点と対象物の往復移動により身体移動するイメージの形成を図った. 【結果】指導前, 探索のみで室内配置を理解して正確な触地図構成と移動が可能な基準点があった一方で, 心的回転が必要となる基準点90度では教室の中央にある対象物の向きの理解が不正確で, 正確な触地図構成となるまでに他の基準点よりも多くの指導回数を必要とした. 指導後は, 未指導の基準点や未指導の教室でも正確な触地図構成と移動ができた. また, 外部参照枠の活用を必要とする空間課題の成績が向上した. 【結論】外部参照枠の活用を促すことで, 先天盲生徒における室内の配置知識と移動の正確性が向上する可能性が示された.

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© 2020 日本リハビリテーション連携科学学会
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