2020 年 21 巻 1 号 p. 41-52
【目的】高齢心不全初回入院患者が自宅退院する過程において, 患者, 担当理学療法士が必要と考える退院支援について因子分析 (Q技法) でニーズを類型化し両者の差異を明らかにすること. 【方法】対象は心不全患者16例と担当理学療法士とした. 患者に必要な退院支援 (35項目) に関するニーズを因子分析で類型化した. 【結果】患者群は「疾病理解・生活指導重視型」「再発予防重視型」「歩行・移動能力重視型」「運動・食事重視型」「精神的サポート必要型」の5因子に類型化された. 理学療法士群は「包括的疾病管理型」「運動指導重視型」の2因子に類型化された. 【結論】心不全初回入院患者が必要とする退院支援は多様な類型を呈した. 理学療法士群の退院支援に関するニーズの類型はわずか2つの類型に集約し, 特に包括的疾病管理を重視する類型を呈した. また, 理学療法士の一部は運動指導の項目を重視した考え方を類型として持っていた.