身近な商店の減少、本格的高齢社会の到来は、日常的な買い物に支障がある「買い物弱者」を生み出している。この問題の深刻度は地域特性によって異なるが、高度成長期に整備された団地では問題が顕在化しやすいと考えられる。そこで本研究では、急激な高齢化、商業施設の撤退を経験した八潮団地(埼玉県八潮市)を対象に、買い物弱者問題の現状と構造、対策について考察した。65歳以上の団地居住者78名を対象とするアンケート調査結果の分析から、加齢に伴い自家用車や自転車から徒歩やバスに交通手段が移行すると、日々の買い物に不便を感じるようになり、買い物の頻度が減るという構造が見出した。買い物環境の悪さが高齢者の食生活や健康に影響していることが懸念される。