2014 年 12 巻 4 号 p. 156-159
本研究では和歌山県田辺市本宮町萩地区を研究対象地とし、1.過去の水害経験と水害対策およびその現状、2.台風第12号災害発生時の被害概要と水害関連場所・施設の実態、3.台風第12号災害発生時における対応行動の詳細経緯に関するヒアリング調査を行った。その結果、地区内の指定避難施設に避難した萩地区の住民らは、停電、携帯電話・無線の不通、道の寸断等を背景に、断片的な水害情報を基に避難の判断をせざるを得ない状況であったことが分かった。また、4度にわたり避難の場所を変更した詳細経緯の分析を行い、その中で、住民らは限られた情報の中、住民同士で議論し、最善と考えられる避難行動を取ろうとしていたことが分かった。