2014 年 12 巻 4 号 p. 164-168
太陽光発電を有効に活用するためにスマートグリッドによる余剰電力の融通効果が注目されている.しかし,その効果は先進的に整備された街区単位での検証が中心で,また個々に特徴の異なる既存の街区間での融通効果は十分に把握されていない.そこで,本研究では既存街区を対象に都市構造と関連させた街区間融通効果の分析を行った.その結果, 1) 人口が低密でスプロール的な都市構造では,街区間融通の余地が少ない事,2)人口が稠密で低未利用地が混在している街区を含み,更に街区ごとに人口密度や住宅タイプが大きく異なる都市構造では余剰電力が街区間融通によって効率的に活用される事,3)コンパクトな都市構造では融通効果は小さい事が示された.