2015 年 14 巻 2 号 p. 168-173
急激なインフレーションなどの外的要因に影響を受けやすい発展途上国では,食料自給につながる都市農業の役割は大きい。本研究ではケニア・ナイロビの麻袋の土のうによる野菜栽培「Sack Gardening」に着目し,実態と継続要因を考察した。Sack GardeningはNGOの支援により拡大したが,支援終了後は縮小傾向にある。活動継続者・終了者計57名に面接調査を行い,両者の生活水準や個人属性を比較したところ,家計の経済状況の差異はそれほど大きくなかったが,互助組織への参加率・教育水準について有為な差が見られた。Sack Gardeningの継続要因は,経済的な優位性のみでなく,参加者の社会的な自立や,教育水準の高さによる問題解決能力の高さ等にある可能性が考えられた。