都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
14 巻, 2 号
都市計画報告集
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 東日本大震災時の神奈川県いちょう団地を事例として
    小林 麻衣子, 松行 美帆子
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 106-111
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究は、神奈川県のいちょう団地に居住する外国人住民を対象として、東日本大震災発生時において、情報収集手段、状況を明らかにした上で、情報収集に影響を与えた要因について分析を行うことを研究の目的としている。分析の結果、以下の結論が得られた。1)情報に関しては、高い情報収集度合いであった。2)情報の収集源に関しては、ほぼ全員が日本語のテレビ・ラジオであったが、計画停電などの地域特有の情報については自治会や地域のNPOなどにより多言語で提供された情報も利用されていたこと。3)日本語能力や地域のNPOへの参加度合いにより情報収集度合いが違っていた。

  • 若年齢層の新規居住と多様な住宅の建て方の誘導に着目して
    酒本 恭聖, 瀬田 史彦
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 112-118
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    ニュータウンの再生は、若年齢層が新規に居住することで住宅地の年齢構成が多様化することが必要である。若年齢層の新規居住を促進するためには、若年齢層のニーズに合う住宅を供給しなければならない。適切な敷地規模での戸建住宅や賃貸の共同住宅である。本研究では、兵庫県川西市の戸建住宅団地(大和団地)を対象に、住宅地の現状、若年齢層の新規居住、住宅の建て方の多様化などへの住民の意識を調査する。その結果分析から、ニュータウンの再生に地区計画を活用するための知見を得ることを目的とする。

  • 野中 勝利
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 119-126
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    岩手県は、盛岡城址の土地を借りて岩手公園を管理していた。1934年に盛岡市が土地を買収し、公園を管理することになった。その背景には濠の一部を埋め立てて市街を貫通する幹線道路の整備があった。盛岡市による公園の管理は、公園の維持や改修が中心だった。新たな施設整備はなく、長岡安平が設計した公園は概ね保全された。ただし近代的な人工的装飾は施された。その後、戦争が長期化すると、戦時社会に強く影響を受けた公園管理になった。

  • 大分川左岸地区を対象として
    伊東 将輝, 亀野 辰三
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 127-131
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    東日本大震災は過去の災害経験からもまさに想定外の地震であった。被害を最小化するために「共助」が重要と考え、民間企業による地域防災への新しい取り組みとして「防災アダプトプログラム」の構築を目的とした。アンケート調査の結果「呼び掛け・誘導型」、「支援型」の2種類に区別することができた。また、防災アダプトプログラムのリーダーとなる企業をポジショニング分析を用い類型化を行った。その結果、リーダーとなるにふさわしい企業は地域防災に積極的な姿勢や、行動を起こしている企業が多いことから、これらの企業にリーダーとなってもらうことができると考えられる。

  • 田中 敦士, 亀野 辰三
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 132-136
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    アダプト・プログラム(以下,AP)とは,地域住民や地元企業が主体的に行う地域の維持管理活動あるいは美化活動のことを指す。APは1985年米国テキサス州で行われた活動が起源とされており,1998年に日本で初めて導入され,現在に至るまで広く普及してきた。しかし,導入から17年ほどの歳月が過ぎ,衰退してきている活動が見られるようになり,その課題や評価構造の把握が求められる。本研究では,全国地方自治体を対象とした道路の維持管理手法としてのAPに関する調査の結果をもとに,APの導入状況と具体的な活動評価を把握すると共に,分析結果に基づき,全国の自治体を活動の評価毎に類型化することを目的とする。

  • 福島県内の市町村を事例として
    鈴木 裕香子, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 137-144
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究は、福島県内の市町村を対象として、空き店舗対策事業の運用実態と課題を明らかにすることを目的とする。本研究を通じて、(1)空き店舗対策事業は、空き店舗の解消と事業者の育成に一定の効果を有すること、(2)しかし、その活用件数は、中心市街地における空き店舗の件数と比べて非常に少なく、所有者は空き店舗を貸したくないと考えている場合が多いこと、(3)中心市街地の活性化を図るためには、今後とも空き店舗対策事業を的確に運用することは重要であるが、それ以上に、空き店舗や駐車場・空き地の所有者に不動産の活用を促す仕組みを構築することが重要であることが明らかになった。

  • 佐世保市と熊本市を事例として
    水口 雅崇, 今村 洋一, 川原 大輝
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 145-148
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    旧軍用地の転用は、高度経済成長の終焉を迎えた1970年代半ばには落ち着いたとされているが、旧軍港市である佐世保市と陸軍師団司令部の置かれた熊本市を事例として、1975年頃と2005年頃の土地利用状況の比較を通し、その後の土地利用変化のパターンを土地利用の経緯も含め、明らかにするものである。都市の性格も旧軍用地の分布状況も異なる両事例であるが、この期間に、中心市街地での公園化、市街地近隣地区での文教市街地化という共通の土地利用変化が見られた。また、佐世保市に限れば、郊外部において、テーマパークや軍事系への土地利用変化もあった。全国の旧軍用地が、戦後一貫して、土地需要の変化に対応する流動性の高い土地という性格を有している点が示唆される。

  • 今村 洋一
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 149-152
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究では、豪州ビクトリア州及びメルボルン市における歴史的景観保全制度の規制内容を明らかにすることを目的とし、以下の知見を得た。州レベル、基礎自治体レベルともヘリテージ数が非常に多い。基礎自治体レベルでは、主に景観価値が保全に対して、州レベルは文化財的価値が保全されている。州レベル、基礎自治体レベルとも、許可判断者の裁量が大きいが、事前に明示された保全すべき価値を考慮することとなっており、個別に詳細な検討が可能である。州レベルでは、所有者の経済的負担も考慮事項である。基礎自治体レベルでは、都心部と郊外部で規定が異なり、建築様式が揃っている郊外部では、建造物のグレードや町並みのレベルに応じて、方針や規制内容が、ある程度、定形化されている。

  • 港北ニュータウンを対象として
    安藤 岳洋, 大西 暁生
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 153-157
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    環境問題は人間活動に由来している。人間活動を表す一つの事象として土地被覆がある。もともと自然的な土地利用や被覆であった場所が、人間の活動が活発になるに伴い、住宅街や商業施設などに転用されていき、人工的な土地利用・被覆に変容されていった。この結果、現在の土地利用・被覆が我々の日常の活動を表す姿となった。これが原因となり、例えばヒートアイランド現象、景観破壊、生態系破壊といった環境問題が深刻化していった。本研究では、高分解能衛星画像の一つであるGeoeye-1画像を用い、異なる分類手法を試みることで詳細な土地被覆情報を取得し、これらの分類結果の比較・検討を行った。ここでは、ピクセルベースの分類手法である教師なし分類と教師付き分類に加え、近年広く用いられているオブジェクトベースの分類手法を試みた。

  • 宮川 啓輝, 小泉 秀樹, 後藤 智香
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 158-163
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究の目的は、まちなかスタジアムを対象に、「多目的利用の促進」「周辺との相乗効果創出のための空間整備・ハード面での連携」「周辺への波及効果増大のためのソフトな施策」という視点から、スタジアムを活用した取り組みの実態と課題を明らかにする事である。具体的には、全スタジアムにアンケート調査を実施した上で、地域活性化に向けた特徴的な取り組みが行われているまちなかスタジアムの事例として4施設(アオーレ長岡・マツダスタジアム・ベストアメニティスタジアム・Kankoスタジアム)を選定し、スタジアム管理団体、所有団体、利用団体、周辺の商業者に対するインタビュー調査と実地踏査により、取り組みの実態と課題の把握及び分析を行った。

  • 對間 昌宏, 阪田 和哉
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 164-167
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    2011年3月に発生した東日本大震災では,被災地に対し大きな経済損失等の打撃を与えた.観光目的の宿泊需要は震災前の水準に戻っておらず,そのため各主体により,東北地方の観光面での早期回復・拡大に向けた取り組みが推進されている.本研究では,2011年を中心とする5年間に東北地方東部への観光を行った人々の再来訪意向に着目する.直近の観光が震災前と後のサンプルで分け,順序プロビット・モデルにより観光地再来訪意向を説明するモデルを構築した.そして,震災の前後で観光客が観光地において魅力を感じるものの変化を捉え,環境改善による再来訪意向の上昇を定量的に把握することを試みた.

  • 清水 結真, 寺田 徹, 斎藤 馨
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 168-173
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    急激なインフレーションなどの外的要因に影響を受けやすい発展途上国では,食料自給につながる都市農業の役割は大きい。本研究ではケニア・ナイロビの麻袋の土のうによる野菜栽培「Sack Gardening」に着目し,実態と継続要因を考察した。Sack GardeningはNGOの支援により拡大したが,支援終了後は縮小傾向にある。活動継続者・終了者計57名に面接調査を行い,両者の生活水準や個人属性を比較したところ,家計の経済状況の差異はそれほど大きくなかったが,互助組織への参加率・教育水準について有為な差が見られた。Sack Gardeningの継続要因は,経済的な優位性のみでなく,参加者の社会的な自立や,教育水準の高さによる問題解決能力の高さ等にある可能性が考えられた。

  • 地方分権が進む中での民間・住民発意の取り組みに着目して
    尹 荘植, 高見沢 実
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 174-179
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    高度成長経済期の只中の1968年につくられた日本の都市計画制度は、現在まで制度上の根本的な変化はなく、人口減少・超高齢化・市街地縮小などの新たな社会状況の変化への対応にもさまざまな課題があると言われている。また、その課題に対応するため、民間や住民等の地域主体との協働が必要とされている。そこで、実際の現場で都市計画を担当する者が感じている制度上の課題やその課題への対応としての自治体の取り組み、また民間事業者や地域住民等からの民間発意の取り組みの実態を明らかにするため、2013年末に全国アンケート調査を実施した。従って、本稿ではその全国アンケート調査の結果の分析と、その結果をもとに、これからの都市計画制度の改革方向について考察することを目的とする。

  • 京都市左京区大原大見町の変容過程をサンプルデータとして
    北 雄介
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 180-186
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    都市は無数の出来事の積み重ねによって変わり続けている。著者らはこれまでに、都市の変容を「出来事のネットワーク」として理解する理論モデルを提案してきた。各々の出来事は、行為者を表すA(actor or agency)、背景を表すB(background)、変化する事象を表すC→C'(changed object)の三層から成り、これがネットワーク記述のための基本文法となる。本稿では、C→C'の部分を記述するためのより詳細な文法を開発する。その際に京都市左京区大原大見町の変容過程をサンプルデータとし、具体的に検討する。本稿で提案された手続きは、「記述対象の設定」「資料の収集」から「出来事の抽出」「文法の適用」「可視化」という手順となっている。

  • 近畿圏を事例として
    三瓶 由紀, 阪口 大介, 原 祐二
    原稿種別: 研究論文
    2015 年14 巻2 号 p. 187-191
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究では、里山管理における指定管理者制度の現状を把握するため、里山に関連する施設への制度適用の準備状況などを、広域的行政資料調査により実施した。続いて特徴的な事例について、指定管理者による活動内容の詳細を現地調査により把握することで、里山管理上の効果と問題点について考察を行った。分析の結果、近年の里山に関連する施設への制度導入の実態が示され、制度導入手法の偏り が明らかになった。また実際の導入事例の分析を通じ、制度導入による効果が示された一方で、いくつかの問題が内包されていることが示唆された。

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