2016 年 14 巻 4 号 p. 359-363
本稿においては、タリアの集落再生モデルであるアルベルゴ・ディフーゾ(AD)について、全体像や特徴、運営実態、地域への波及効果など、その概要を整理した。ADは集落に残る地域の歴史的資産を活かしながら環境負荷の少ない手法でまちづくり基盤を整え、多様な主体が協働的に地域内で関わるツーリズム手法を導入することで、持続可能な地域社会の形成を図ろうとするものである。その取り組みの理念的な特徴は、本物の環境にこだわる「真正性」と小さいながらも地域に新しいしくみを導入しようとする「革新性」にあると思われる。今後、この「集落まるごとホテル」というユニークな発想を日本型にアレンジした観光まちづくりの導入が期待される。