2016 年 15 巻 2 号 p. 101-106
日本は縮小社会へと突入し,空き家は増加している.このため,将来の住宅供給において,既存住宅ストックを活用した住み替えや改修への関心が高まっている.住み替えや改修に関連した既往研究は多いが,地域におけるそれらの行いやすさについては,その重要性にもかかわらず研究は見当たらない.そこで本研究では,近隣への住み替えと,改修の中でも増改築を行いやすい地域があると仮定して,その発生要因と発生割合の推移を分析した.東京都の市区を調査地域として,国勢調査と住宅・土地統計調査を使用した.行いやすさに影響すると予想される要因による重回帰分析から,住戸密度が高い市区では住み替えが多く増改築が少ないことが示唆された.