景観保全・形成を促進する有効な手法の1つとして景観協定が考えられる。そこで、本研究では、協力ゲームを活用し、景観協定の締結に関するメカニズムについて分析を行った。その検証を通じて、景観協定はある一定以上の規模の同意が満たされてはじめて締結可能になり、全員同意の時に、最も望ましい状態になることが確認された。一方で、フリーライダーが存在する場合は、景観協定の全員同意が妨げられる要因にもなりえることも確認された。そこで、景観配慮の建築に対する助成金や景観不配慮の建築に対する罰則強化がどのように機能するのかについて更なる検証を行った。その結果、その助成金や罰則強化に伴う費用は、景観協定の同意数がより少ないレベルでも締結を促進する一方でフリーライダーの数を抑制することにも寄与することがわかった。