2016 年 15 巻 2 号 p. 81-86
近年、日本では人口減少や超高齢社会に対応するため、新たな都市計画論が提案されている。本研究では、近現代都市計画論と近年の日本の都市計画論の地域サービス機能の計画内容について概観し、①計画背景、②計画規模・構造、③交通、④想定されているケアサービス機能、の4つの視点から比較を行うことで、近年の日本の都市計画論の歴史的な位置づけを明らかにすることを目的とした。その結果、近年の日本の都市計画論の歴史的な位置づけは、1)近現代都市計画論の延長線上にあること、2)既成市街地を対象とする現代的な都市計画論の特徴を有していること、3)人口減少・超高齢社会への対応を志向していること、4)3つの都市計画論が並列して示され、統合的な都市計画論としては完成していないこと、の4点に整理できることが示された。