2016 年 15 巻 2 号 p. 87-92
地方部における持続可能な地域構造として着目される小さな拠点の実現には「コンパクト+ネットワーク」の両側面から検討を行う必要がある。しかしながら都市部と比較し過疎地域等では定量的分析に耐えうる規模の交通行動調査の例が少ない。本研究では茨城県常陸太田市のアンケート調査から生活行動の実態を明らかにすることで、小さな拠点の存立要件には施設の有無以外に、地区外の大規模施設集積地を加味した際のアクセシビリティや、普段から住民に利用される幹線道路の存在を考慮する必要を示した。今後小さな拠点の設定を進める上では設定しようとする地区が存立要件を満たすか確認するとともに、今後は生活利便施設によらない精神的よりどころとしての「小さな・小さな拠点」の可能性も含めた検討が望まれる。