2016 年 15 巻 3 号 p. 142-147
本研究では2003年以降に都市計画決定された市街地再開発事業が多く行われている千代田区、中央区、港区を対象に、容積率等の規制緩和による公共貢献として、①人口増加、②税収増と税負担、③都心居住の推進、④道路・広場等のオープンスペース等の創出を視点に評価し、公共貢献の実態と課題を検証した。その結果、都心3区の市街地再開発事業を伴う超高層マンション建設により、人口増加・税収増加効果があった。その一方、広場等のオープンスペース等の創出効果については、主要な用途がオフィス・商業施設の事業では、一般的な利用者に対して開放的な空間となっていたが、主要な用途がマンション開発では、広場とするには排他的・閉鎖的な空間になっており、用途によって公共貢献に差があるといった課題が明らかとなった。