1894年に弘前市は弘前城址に弘前公園を開設した。本稿では、1908年の皇太子の行啓と1915年の天皇の行幸を機会として特に進められた公園整備の内容を明らかにした。行啓の前に、城門と橋の修繕や色の塗り替えがされた。また地均し、芝生や休憩所の整備があった。しかし崩落していた石垣はそのままだった。行幸の際には全面的な公園整備が進んだ。特に石垣の積み直しと天守閣の元の位置への移転に多くの費用が費やされた。このほか濠の浚渫、城門や城郭建築の修繕、道路や排水溝の整備、木柵や生垣などの設置が進められた。ただし従来の城址が有していた雅趣の欠乏を指摘する意見もあった。