2017 年 16 巻 2 号 p. 240-246
近年日本国内の国際化が進み,外国人と地域住民の異文理解を深める多文化共生策が求められている.そこで本研究では移民・難民大国であるドイツにて,地域の移民・難民の統合を目的としている「多文化共生ガーデン(IG)」活動に着目し,その取り組み実態を明らかにし,活動が社会に根付いた経緯について,ドイツの社会背景を踏まえながら考察する.調査の結果,IG活動は自治体レベルの草の根活動として始まり,支援組織の支援によりドイツ全土に拡大したことを把握した.また,ハノーファー市におけるケーススタディからは,IGが移民・難民を社会的に統合する場として機能する一方で,ドイツ人の参加が希薄になっているという課題を得た.