2009年のモーラコット台風により、台湾の多くの少数民族が深刻な被害を受けた。その後台湾政府は、被災地域を含めた、災害リスクの高い山間部区域での居住を制限し、住民たちを別の集落へ移住させた。本研究ではRinari集落へ移住した好茶(ハオチャ)部族について、移住後の居住環境の変容を明らかにした。さらに、近隣住民の血縁関係と居住地の関係を分析した。住宅の増改築とあわせて、世帯構成を分析したところ、住宅の増改築と世帯構成との間に相関が見られた。また、移住先での土地・住宅の割り当ては抽選によるものであったが、実際は好茶部族内の元々の地縁・血縁関係による集住がここでも継承されていることが確認された。