2019 年 18 巻 2 号 p. 221-227
本稿は市街化調整区域における開発許可により、もたらされる開発利益の公的還元について問題提起を行うことを目的とする。市街化調整区域のまとまった開発可能地を擁する大阪府南河内地域(以下、「同地域」。)において開発許可により、市街化区域と同等の地価になったものと仮定し、その地価の差額を開発利益として試算を行う。その結果、2008-2017年における開発利益は319億円に達する。同地域の市町村は人口が減少し、税の減収傾向にあり、厳しい財政事情にある。開発利益の一部を目的税、分担金、条例に基づく開発負担金により公的還元することが望ましいと考えられる。