2020 年 18 巻 4 号 p. 274-279
本研究は、木造密集市街地の解消による低家賃住宅の減少の実態を明らかにし、それに伴う住宅政策上の課題と居住支援の方策を模索することを目的とする。前半は、東京都における住宅政策の変遷や住環境整備の手法を整理し、民営借家の位置づけを明らかにするとともに、木造密集市街地解消によるインパクトを検証した。その後、区画整理事業を実施した田端地区において、事業前後における民営借家の変化を追った。後半では、地域内における居住支援の方策である従前居住者用住宅整備について、整備手法毎のメリットや課題を整理し、実施拡大にむけた課題を整理した。これらの結果をもとに、地域における居住支援の基本的方向を整理し、具体化に向けた課題を明らかにした。