本研究の目的は、「仮の町」を実現した唯一の事例である双葉町の「仮の町(町外拠点)」を構成する要素の一つとして整備された勿来酒井団地の入居者を対象として、生活実態とコミュニティの維持・形成状況を明らかにすることである。この研究により、介護・福祉、医療については高く評価されているが、公共交通については特に評価されていないことが分かった。また、福島県によるコミュニティ支援策は一定程度評価されているが、帰還を考える人はとても少なく、交友関係は狭まり、孤独感を感じている人もいることが分かった。これらの結果に基づき、帰還する人に対する支援だけでなく、仮の町で生活する人に対する支援も必要であることを指摘している。