都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
田園住居地域指定による都市農地の活用可能性
東京都練馬区高松地区におけるケーススタディ
松村 優山口 忠志真鍋 陸太郎村山 顕人小泉 秀樹
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2020 年 19 巻 2 号 p. 174-179

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抄録

田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した良好な住環境を保護するための用途地域として2018年に創設された。具体的に指定に向けた検討を進める自治体もあり、制度自体も改善に向けて地区計画の創設も含めた運用が考えられている一方で、具体的な地域に即した制度内容の検討の蓄積が少ないと言える。本研究では「農の風景育成地区」に指定されている練馬区高松地区を対象としてケーススタディを行い、モデル農家が田園住居地域指定下で農業活動を継続できるようなシナリオを提案するとともに、田園住居地域指定の都市農業の継続に対する効果と同制度の活用可能性を考察した。農地の所有実態や土地利用等の条件を考慮したシナリオの検討と税負担の試算により、農家レストランなどの建築が可能になることによる農業経営の多角化、宅地化農地への固定資産税課税額の減免による負担減少などの田園住居指定による効果が具体的に示された。また、同制度の活用可能性としては、建築規制や税制などのインセンティブによる農業経営へのメリットに加え、交流拠点や子ども学びの場として農地を保全することによる地域への貢献も期待される。

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