2021 年 19 巻 4 号 p. 404-407
2016年熊本地震では東日本大震災以降で初めて、借上げ仮設住宅が大量に供給された。本研究では借上げ仮設住宅を経た住宅復興過程の特徴と課題を明らかにするために、2016年熊本地震において熊本県益城町で被災し、借上げ仮設住宅へ入居した世帯へのアンケート調査を行い、その結果を入居世帯の仮設への入居及び恒久住宅再建に伴う居住地移動と入居世帯特性に着目して分析した。結果として、単身高齢者世帯や非高齢者世帯では被災前居住地からの転出を伴う恒久住宅再建が発生している。特に単身高齢者世帯では借上げ仮設住宅への入居による孤立と情報の不足が発生し、その結果として消極的な被災前居住地から遠くでの再建が発生している。