2021 年 19 巻 4 号 p. 487-494
本研究は、福島県の森林・林業に関する被害と現状を分析するとともに、原発事故後の施策の概要や実績を整理し、福島県内の58市町村の森林・林業の再生に向けた現状と課題を明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、(1)福島県全体としては、林業は回復傾向にあるが森林の荒廃は進んでいること、(2)58市町村のすべてが森林・林業の再生に向けた課題があること、(3)これらの市町村の半分以上が森林・林業の再生に向けた要望があることが明らかになった。以上を踏まえ、地域の実態を把握して多様な課題を解決できるように、既存事業の実施や継続をすること、森林全域において事業が実施できる体制を整える必要があることを指摘する。