2021 年 20 巻 1 号 p. 154-156
縮退都市では,都市の農が既存のコミュニティを活性化しうる.利用率の低い都市公園は,コミュニティガーデン(CG)を作るのに適した土地であろう.しかし,農園が公益性を持つかは疑問視されており,自治体は都市公園でのCG設置を躊躇しがちである.この問題について議論するため,本報告では,「平野コープ農園」の設立経緯を明らかにした.著者は,この設立経緯を把握するために,自治体の担当部署と民間企業にインタビューを行った.結果,この農園は現在,神戸市農政水産部の実験事業として存在しており,今後の展開を検討する必要があることがわかった.また,誰でも参加できる農園を作り,学びの機会を提供することが,コミュニティ形成に不可欠である可能性が示唆された.